ライプニッツ係数5%→3%へ !係数早見表をわかりやすく解説【2024年最新版】

ライプニッツ係数が変わる

2020年の4月1日から、民法の法定利息が5%から3%へと引き下げられます。

結果的に、交通事故の損害賠償の請求額、特に「ライプニッツ係数」にも少なからず影響がでて、早見表の内容も変更されます。

ここでは、民法改正前と改正後を比較して、交通事故の損害賠償がどのように変わるか、2024年最新版として、具体例を交えながら係数表、早見表などについても、わかりやすく簡単に解説致します。

法定利率が年5%→年3%の変更は、交通事故の賠償額に影響する

民法には「法定利率」に関する定めがあります。

この法定利率は、交通事故の「逸失利益」を計算する際に使用される中間利息の控除に関するライプニッツ係数を求めるためにも利用されます。

市場の金利とこれまでの法定利率5%という数字が乖離していることから、2020年4月1日に「法定利率は3%」へと引き下げられ、その後、3年ごとに見直す(*)制度が導入されることになりました(改正民法第404条)。

※正確には、貸出約定平均金利の過去5年間の平均値を指標とし、この数値に前回の変動時と比較して1%以上の変動があった場合にのみ、1%刻みの数値で法定利率が変動します。詳しくは法務省のサイトをご参考ください。 法定利率に関する見直し|法務省

ライプニッツ係数・中間利息控除への影響を簡単に解説|改正前後の比較

ライプニッツ係数とは

ライプニッツ係数とは、逸失利益における中間利息を控除するために用いられる係数のことです。

ライプニッツ係数を計算する際にも「法定利率」が使われています。

では、法定利率が5%と3%では、ライプニッツ係数にどれくらいの違いが出るのわかりやすい表で簡単に比較してみましょう。

法定利率5% 法定利率3%
1年目 0.952 0.971
2年目 1.859 1.913
3年目 2.723 2.829
4年目 3.546 3.717
5年目 4.329 4.580
6年目 5.076 5.417
7年目 5.786 6.230

ご覧の通り、法定利率3%の方がライプニッツ係数は、若干大きくなります。

民法改正で「逸失利益」は増額するか?

法定利率の変更が、ライプニッツ係数に影響を与えるということは、「逸失利益」の賠償額にも影響を与えることになります。

なぜなら、後遺障害逸失利益、死亡逸失利益は、それぞれ以下の計算式で求められるからです。

  • 後遺障害逸失利益

基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応する「ライプニッツ係数」

  • 死亡逸失利益

基礎収入 × (1 ― 生活費控除率) ×  就労可能年数に対応する「ライプニッツ係数」

上記の計算式を見て分かる通り、民法改正前よりも、逸失利益は増額されることになります

つまり、交通事故の被害者にとって逸失利益を算出する観点からは有利な改正と言えます。

ライプニッツ係数早見表

ライプニッツ係数早見表は国交省のサイトで公開されています。

内容は2023年最新です。

交通事故により被害を受けた場合、事故がなければ得られるであろう利益の損失、逸失利益を計算するために主にご利用ください。

また、一般的に、早見表を見た上で、逸失利益の計算を自分でするのもいいですが、損害賠償の専門家や弁護士に聞いてみるのもよいでしょう。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/resourse/data/syuro.pdf

民法改正により損害賠償はどれだけ増えるか分かりやすく解説

では、実際に、法定利率が変わることで、賠償額は、どれだけ増えるのでしょうか?具体例で確認しましょう。

事例1:後遺障害逸失利益

事例1.

症状固定時の年齢:35歳(就労可能年数32年)
基礎収入額:600万円
後遺障害等級:12級
扶養家族:1人

後遺障害等級12級の労働能力喪失率は、14/100、ライプニッツ係数は、法定利率5%の場合は15.803、3%の場合は20.389です(※)。

後遺障害逸失利益

法定利率5% 600万円 × 0.14 × 15.803 1327万4520円
法定利率3% 600万円 × 0.14 × 20.389 1712万6760円

つまり、法定利率が2%変わるだけで、この例での後遺障害逸失利益は、385万円以上も違うことがわかります

※ この事例におけるライプニッツ係数は、 就労の終期67歳までの数値を使用しています。

事例2:死亡逸失利益の計算

次に、事例1.の被害者が死亡してしまった場合を想定して、死亡逸失利益を考えてみます。

先述の通り、死亡逸失利益は「生活費控除」を加味する必要があります。例えば、扶養家族が1人の場合は「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故相談センター東京支部)によると、40%です。これを計算式に当てはめると、以下の通りです。

法定利率5% 600万円 ×(1 - 40%) × 15.803 5689万0800円
法定利率3% 600万円 × (1 - 40%) × 20.389 7340万0400円

この例での死亡逸失利益では、1,650万円以上の差がでることがわかります。

法定利率の改正はいつからどのように適用される?

法定利率を引き下げる法改正は、2020年4月1日から施行されますが、交通事故の逸失利益には「どのように適用される」のでしょうか?

改正された民法には、以下の条文があります。

417条条の2第1項

将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。

逸失利益については、交通事故の起こった日が2020年4月1日以降であれば、中間利息の控除について3%が適用されます。

3年後ごとに法定利率は見直されますが、見直し前に事故が発生していれば、その時点の法定利率によって計算し、見直し後の法定利率には、影響されません。

まとめ

ここまで、2024年最新版として、民法改正による法定利率の変更が与える交通事故の損害賠償額に与える影響、早見表などについて簡単にわかりやすく解説して参りました。

もし、「こんな場合、損害賠償はどうなるの?」など、疑問が湧いたら、是非、弁護士に相談してみてください。弁護士は、あなたの味方となって、最後までサポートしてくれるはずです。

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