過失運転致死傷罪とは?量刑・罰金相場等わかりやすく解説
過失運転致死傷罪は、交通事故事件で、もっとも多く問われる刑事責任です。この記事では過失運転致死傷罪について詳しく説明…[続きを読む]
交通事故が発生すると、場合によっては刑事事件として扱われ、刑事的な罰則が科されることがあります。
このような状況では、被害者や加害者、そして関係者にとって、どのようなケースが刑事事件となり、どの程度の刑事罰が科されるのかについて疑問が生じることがあります。
そこで、今回は交通事故に関連する刑事事件と刑事罰について、詳しく解説していきます。
目次
交通事故で加害者が刑事裁判にかけられるのは、中でも悪質なものや重大なものについてのみとなります。
これらの状況に該当しない限り、通常の交通事故は民事的な問題として扱われる傾向があります。
最初に交通事故で成立する犯罪について説明しましょう。
交通事故で適用される可能性がある法律は、「自動車運転処罰法」と「道路交通法」になります。
それぞれの法律で該当する罪は、次の通りです。
「自動車運転処罰法」5条による過失運転致死傷罪は、自動車・オートバイのドライバーが注意を怠ったことにより、人を死傷させた場合に適用されます。
また、過失で事故を起こした上に、飲酒運転などの発覚を免れようとした場合には、より思い刑罰を科す「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が適用されます。
過失運転致死罪 | 7年以下の懲役または禁錮もしくは100万円以下の罰金刑(5条) |
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過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪 | 12年以下の懲役(4条) 無免許運転の場合は15年以下の懲役(6条3項) |
過失運転致死傷罪について詳しくは、次の関連記事を是非ご一読ください。
危険運転致死傷罪は、「自動車運転処罰法」に規定されており、自動車の危険な運転によって人を死傷させた場合に適用されます。
過失運転致死罪は、あくまでドライバーの不注意など過失による事故である一方、危険運転致死傷罪は、自分の運転が危険であるという認識(故意)を持ちながら起こした事故に適用されます。
この法律による刑罰は、次の通りです。
人を負傷させた者(危険運転致傷罪) | 15年以下の懲役(2条1号) |
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無免許運転のときは 6月以上の有期懲役(6条1項) (技能欠如危険運転の場合は、15年以下の懲役) |
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人を死亡させた者(危険運転致死罪) | 1年以上の有期懲役(2条1号) |
危険運転致死傷罪について詳しく知りたい方は、次の関連記事をご一読ください。
物損事故であっても、たとえば、当て逃げや飲酒運転、無免許運転、スピード違反などのケースでは、道路交通法違反となり刑事事件となる可能性があります。
当て逃げ | 1年以下の懲役刑または10万円以下の罰金刑 |
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飲酒運転 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
無免許運転 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
スピード違反 | 6か月以下の懲役または10万円以下の罰金刑 |
刑事事件となった交通事故事案で起訴される確率は、2018年における検察庁の統計では次の通りです。
危険運転致死傷
起訴 | 342件 |
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不起訴 | 93件 |
起訴率 | 78.6% |
過失運転致死傷
起訴 | 46,739件 |
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不起訴 | 360,556件 |
起訴率 | 11.5% |
過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱
起訴 | 83件 |
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不起訴 | 13件 |
起訴率 | 86.5% |
【出典】「被疑事件の罪名別起訴人員,不起訴人員及び起訴率の累年比較|検察統計調査
ただし、起訴されるか否かは、個別の事案によって決められるため、起訴率を見てもあまり参考にはならないでしょう。
では、起訴・不起訴の基準にはどのようなものがあるのでしょうか?
検察が不起訴の判断を下す主な理由は、以下の3つです。
この他にも、次に挙げる事柄などが考慮されます。
不起訴になると刑事裁判にかけられることはなくなります。
つまり、刑罰を課されることも前科がつくこともありません。
今回は、交通事故に関連する刑事事件と刑事罰について詳しく説明しました。
交通事故で加害者が刑事裁判にかけられるのは、悪質なものや重大なものについてのみです。
もしも刑事裁判になる可能性がありそうなら、以下の記事も併せてご参考ください。